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過ぎ去りし日々のそれこれ
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さて、みんな大好きゾンビ映画です。

いいですよね。aVAshiriはとても大好きなジャンルです。

とはいえ例によってそれほど種類を観ている訳でもないんですけどね。
視聴ハードル低めのそこそこメジャーどころをひと通り…
ぐらいの感じです。

追い出すとかなり果てしないジャンルでもありますよね。
○○・オブ・ザ・デッドとついたタイトル縛りでも
相当の数に登るのではないかと。

それだけの数が作られるということは、
当然相応の需要あっての事な訳なのですが、
元々ブームの火付け役となったのがインディーズ映画でしたので、
その流れを受けて低予算ホラー映画の代名詞みたいな
ジャンルになっている部分もあるのだと思います。

それ以上にゾンビというキャラクターの秀逸さが、
見る側も作るも側を魅了して止まないというところが、
何よりも大きいのでしょうね。


さてこのゾンビというモンスター。
今では映画はじめコミックやゲームでもすっかりお馴染みの存在ですが、
これらで扱われているゾンビという存在は、
モンスターとしては比較的新参者なんですね。



オリジンについてはあれこれ諸説ありますが、
モンスターとしての方向性をがっちり固め、認知させたのははやり、
ジョージ・A・ロメロさんの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」でしょう。

ただ実際にジャンルとしてブームに加速がかかるのは、
その続編である「ゾンビ」からだと思います。
前作段階ではモンスターもリビングデッドと呼称されてますしね。


以降様々なゾンビ映画が製作されました。

ロメロさんのゾンビ映画についても本人の手による正式な続編もあれば、
制作的には正式な続編に当たるけれどまた別シリーズとなった物や、
2とかついているけど一作目なんてなくて制作的にも全然無関係な、
続編のフリをした他所の国の映画だとか、
のちのちに作られた正式なリメイク作品だとか…

ロメロさん由来のみを切り出しても相当数の作品がある訳ですが、
先にも触れている派生した諸々を含めればさらに倍以上に膨れ上がり、
そこからまた便乗やら後追いやらオマージュやら諸々を込み出すと、
本当に数えきれないほど膨大な数に及ぶ一大ジャンルを形成しています。


ジャンルとしての爆発の起点を1978年の「ゾンビ」とするなら、
そこからの5年ほどで一気に認知が広まったモンスター
という事になりますね。

尤も、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」から「ゾンビ」までは、
間に10年ほど開いていますので、
その間にも着実に浸透はしていたのでしょうけれど。

それにしても民間伝承に根付いている訳でもない、
(ゾンビという名前ですがハイチのそれとは全然別物ですからね)
映画内の創作モンスターがこれだけ短期間で定着した例というのは、
他に例がないのではないでしょうか?


ただ短い間で急速に広まり、大量の映画が作られたという事は、
それだけネタとしても大量消費されたという事でもある訳なんですね。

まぁ「ゾンビが発生する状況の中の人間ドラマ」という、
ジャンルとしての根っこ部分の懐が深いというところもあるのですが、
それでもやはりだんだん目新しい切り口というものは
出難くなってくるのは当たり前の話です。

そのせいか近年は旧来のゾンビの定義を大きく変化させたり、
方向性をコメディ寄りに振る物が多くなってきている気がします。

コメディ要素については、すでに「ゾンビ」の段階で
ブラックなコメディ要素もある訳なんですけどね。
(直系の「バタリアン」もコメディ比率は高いですね。)
まぁ比重の問題ですね。

徐々に特殊状況下の人間ドラマ的な部分よりも、
モンスター映画としてのインパクト部分が求められるようになったり、
ジャンルムービーとして定着したものがそれを逆手に取ったような、
コメディーへと特化してゆくのはよくある話です。

そうやって時代と共にジャンルの定義や、
世間の認識は変化してゆくものなのですね。


さて、今回紹介させていただく「ゾンビ大陸 アフリカン」ですが、
そんな流れの中にあって実に直球勝負な作品です。


ちなみに本作はイギリス製のインディーズ作品なのですね。
それが故に作風のストイックさが許された部分があるのかも知れません。

2010年(国内上映は2012年)に世に問われたド直球ゾンビ映画、
「ゾンビ大陸 アフリカン」のまずはあらすじから…


その日、マーフィーは西アフリカ上空にいた。
突如大量発生した”生ける屍”から逃れ本国へ撤退する為だ。
が、整備不全のまま飛び立った機体は墜落。
ただ一人生き延びたマーフィーは敵国内に放り出されてしまう。
恐るべき死者の群れが溢れかえり、
今なお増殖を続ける広大なアフリカの地に。

エンジニアであるマーフィーは故障車を修理し、
本国への脱出を図ろうと行動を開始するも、
悪路に車輪を取られ立ち往生する。

なんとかして車を出そうとするが、
その間にも刻々と死者の群れが迫り来る…

あわや絶体絶命というその時、
家族を探すために持ち場を抜け出してきた脱走兵、
ダニエルが現れ、マーフィーは窮地を救われる。

本来なら敵対関係にある二人であったが、
この非常事態を生き延びる為、共に行動する事に。

そして二人の長く果てない旅が始まる…

絶望の中から希望を探し出す旅が。


さてこのような感じで、
なんとか本国へ帰ろうとするマーフィーと、
軍に救助されたらしき息子を探すダニエルとの
旅の道行が映画の本筋となる訳です。


最初にド直球と言いましたが、
相容れない立場の二人が手を結んで…というバディ物の要素と、
目的地へ向かって長距離の旅をするという
ロードムービーとしての要素もあるというのは、
ゾンビ映画としてはなかなかに珍しいパターンではないかと思います。

また、よくある閉鎖空間や限定的な都市空間を舞台とせず、
ひたすら広大な原野を背景にしているというのも、
本作独自の物かも知れませんね。

そういう意味ではわりと斬新な切り口であるとも言える映画だと思います。

でもやはりこの映画はド直球である!とaVAshiriは主張したい訳です。

何より「特殊状況下の人間ドラマ」が前面に出ている事。
そしてゾンビの描写の丁寧さとこだわりが半端ではありません。

まず前者についてですが、
この異常な状況下において決断し、生きる事に足掻く人間の姿が、
そしてそれを行う事の厳しさがきっちりと描かれています。

冒頭部分でまったく台詞もなく状況を理解させる部分は、
本当に良い仕事をしていると思います。
(マーフィーの無精髭で時間経過を表現していたり、
この映画、なかなかに細かい仕事が多いです)

続いてゾンビの描写についてですが、
基本的にはロメロさんの正統スタイルを踏襲しています。
いわゆるノロノロ動いて襲っくるタイプですね。

けれどクラシックスタイルを踏まえつつも、
細かい描写の部分で時代なりの新しさを感じさせる造りなのも、
かなり良い仕事をしている部分です。

これも冒頭部分の話なのですが足を骨折しているゾンビが
きっちりとそういう足の動きで移動してくるんですね。
そこは地味ながらもなかなかの感心所だと思います。

まぁこの映画、全編に渡って身体にダメージを受けたゾンビが
結構な頻度で出てくるのですけどそこも製作者のコダワリなのでしょう。


そういった様々なゾンビがだだっ広い原野のあちこちから集まってきて、
気がつけば周囲を取り囲まれているだとか、
演出の妙もあってなかなかに切迫感、恐怖感があります。

そうです、ちゃんとゾンビが怖いというのも、
映画として実に高ポイントです。

要所要所でのゴア描写もがんばってますしね。
インディーズ映画的安っぽさは微塵もありませんのでご安心を。


ただ、この映画に登場する人たちは、
みんな立派な出来た大人ばかりですので、
ゾンビ映画に限らずホラー映画には付き物の、
かき回し役みたいなキャラが登場しませんし、
道中に女っ気もありません。

そういうキャッチーさとは無縁のストイックさが、
いささか地味に写る人もいるかもしれません。

けれど、ゾンビ映画好きな方なら観ておいて欲しい作品です。
なんだこのジャンルまだまだイケるじゃん!
という希望を見いだせる一作だと思います。


では今回はこんなところで。
お付き合いありがとうございました。
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