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日々見たものや思ったことがらをだらだらと
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「THE QUICK AND THE UNDEAD」 日本劇場未公開 2006 監督:Gerald Nott
ゾンビ映画の多くは「事の始まり」を描いた物が多く、
日常が崩壊してゆく渦中に主人公が巻き込まれ、
サバイバルを繰り広げる…というパターンがほとんどです。

そしてもう一つのお決まりのパターンとしては、
ゾンビ発生という事態については、
その原因が明らかなものもそうでないものも、
大凡その現象そのものが終息するところまでは
描かれたりしない事が多いです。

だいたいは主人公たちの立て篭もりサバイバルや、
脱出劇についてどうなったか?に焦点が当たっており、
その顛末を語る部分でお話は終わります。
(あくまで「だいたいのパターン」の話ですので、
当然例外もありますけどね)

まぁそうなるのも解ります。
これもまた何度も語らせていただいている事ですが、
やはりゾンビものというのは人間側のドラマが中心な訳です。

乱暴な言い方をすれば
ゾンビが発生しているという事については、
単に舞台背景的な設定に過ぎない訳で、
実のところそれほどプライオリティの高い物でもないのですね。


ロメロさんの一連のシリーズはその辺り分り易いですが、
「何故それが起こったのか?」
そして「この事態はどうすれば収束するのか?」
に関しては本当に二の次です。

この状況で人がどんな行動を取るのか?
という部分で基本お話が回っていますし、
決まって最終的に破滅を招く原因となるのは、
人間同士のいざこざだったりするのです。

言ってしまえば災害と同じような物だという扱いなのですね。
人間がどうこうできる物ではないのです。

もし何かしらのワクチンなどで万事解決しますよー
みたいなラストだと微妙にお話そのものが
矮小化し兼ねない危険があるように思えませんか?

原則的に人間からゾンビへの変化は不可逆でなければ、
このジャンルに付き物の葛藤や悲劇性についても、
途端に陳腐な感じになる気がします。

またゾンビ化が治癒可能なものであるならば、
それを相手に軽快にヘッドショットを決めるのも、
少々憚られる空気が出来たりする危険性もあります。

ただでさえ単独のモンスターとしては弱い事を前提とするジャンルの上に、
その現象そのものが薬だとかでどうにかできてしまうとなれば、
もう完全に脅威ではなくなってしまう訳ですものね。

もはや酔っぱらいの暴徒と戦う映画とそう変わりなくなってしまいます。
いや、そんな映画が実際にあるのかどうか知りませんけれどもね。

要はジャンルとしてわりかし根底からひっくり返しかねない
取り扱いの難しい要素でもあるが故に事態収束という事については、
あまり突っ込まないで終わってゆく映画が多いのでしょうね。

その後の顛末的な後日譚を描いた物もそれなりにあるのですが、
その場合でも多くはゾンビ化については解決策がある訳ではなく、
ゾンビとの共存していたりしてすでにそれが在ることが、
当たり前化している世界を描いた物だったりします。
主人公にギターケースを武器入れとして使わせていたりするあたりから漂うマニアムービー臭
悪党ブライズ一味と裏切り者ハンス
ちなみに。

もう完全にゾンビ化現象が世界に広がる様のパニック部分をすっとばし、
すでに秩序を取り戻しつつある世界を舞台にしたゾンビ映画というのも、
わりと作られたりしています。

つまり本来なら後日譚に当る部分からスタートする訳ですね。

これもまたすでにジャンルのお約束が確立しているという
その強みを逆手に取ったパターンと言えます。


今回紹介させていただく
「クイック&アンデッド ~未来世紀ニューウエスト~」も、
まさしくそのパターンだったりする訳ですが、
少々捻ってある変化球ゾンビ映画です。


85年前、軍の生物兵器を元凶とする悪疫は全世界で猛威をふるい、
総人口の3/4を”歩く死体”へと変えてしまった。

僅かに生き残った人類は少しずつ秩序を取り戻しつつあったが、
殆どの土地は未だに歩く死者たちが徘徊する死の大地のままであった。

アメリカ政府は死者たちから領土を奪還すべく報奨金の制度を設けた。
退治した歩く死者=ゾンビから切り落とした指の数に応じて
報酬が支払われるのだ。

リンもそうしたゾンビたちを狩る事で生計を立てている賞金稼ぎである。

ある仕事の最中、”撒き餌”集めのハンスの裏切りにより、
ブライズ一味の襲撃を受けた彼は狩場と収穫を横取りされた上に、
その銃弾を浴びて倒されてしまう。

しかしリンは息を吹き返し、裏切り者であるハンスを捕え、
一味がゾンビが大量発生したというユニオンシティへと向かった事を知る。

ブライズへ復讐するべくリンはハンスを締めあげ、
そこまでの道案内をさせるのであった。

一匹狼の賞金稼ぎリン、悪党ブライズ一味、そしてゾンビ軍団。
ユニオンシティを舞台に三つ巴の戦いの幕が今上がろうとしていた。


ざっとご覧のとおり、ゾンビがどうのという部分を抜けば、
普通に西部劇そのまんまなお話なんですね、この映画。

賞金稼ぎ同士のシマ争いに端を発する復讐劇というのが、
メインの筋立てですからね。

本当にゾンビものというジャンルの懐の深さは底なしです。
その都度生還しますがリンがよくやられるのも微妙に斬新だと思います
ただ西部劇っぽいと言ってもさすがに馬は出てきませんよ?
移動手段としては普通にバイクや車が登場してきます。

あくまで西部劇”風”です。
ゾンビ感染が蔓延して社会がほぼ壊滅状態に陥り、
西部開拓時代的なところまで生活的水準が後退した世界な訳です。

この辺りの切り口はなかなかに魅力的だと思います。
さらに上手に膨らませる事ができれば
まだまだ面白い舞台設定が用意できそうな気がします。

なにげに日本人受けもしそうな漫画っぽさもありますしね。


例によって本作も低予算映画丸出しな感じで、
クオリティとしてはテレビ映画ぐらいの感じなのですけれど、
大量にゾンビが出てくる場面では画面を暗くして粗が見え難くしてみたり、
カットを細かく切り繋いで大掛かりな特殊撮影を使わなくても
誤魔化せるような撮り方をしていたりして、
なかなかに工夫がなされています。

ただ、色んな部分で卒なく作られていて
かなり無難な映画に仕上がってはいますが、
どこか踏み込みが足りない、
食い足りないと感じる部分もあったりするのですね。

特に終盤の方が結構バタバタとした話運びになり、
あまり持ち味が活かせない畳み方をしている感じがあります。

ブライズ一味についてももう少し踏み込んで
個々のキャラクターなりを描いてくれていれば、
終盤の展開についてももっと盛り上がれたかもなという気もしますしね。
リンとハンターとの関係なり、ブライズの狂気なりという部分で。

一応軽く関係性の前振りみたいなものはありますけど、
できればもう一声欲しかったところです。

登場人物としては少なめな映画な割に、
リンとハンスの方にばかり尺を取り過ぎてるかな?と。


ざっと気になる部分を並べ立ててしまった感じになりましたが、
ゾンビの能力差についての解釈であったり面白い部分も多いですし、
あまりだらだらした場面もなく
飽きずにするっと最後まで観る事ができるクオリティは
きちんと維持できていますのでご安心ください。

「ゾンビ」をオマージュした風とも見られるラストも、
なかなかに味わい深い感じですしね。

ちょっと一捻りしたゾンビ映画をご所望の方にうってつけです。

これまたコンビニ弁当ぐらいのお値段で、
新品のセル版DVDが買えてしまうぐらいお値打ち状態ですので、
興味の出た方は是非是非。


では今回はこんなところで。
お付き合いありがとうございました。
明るい所ではあまり人数出てきません
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