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日々見たものや思ったことがらをだらだらと
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「SEXYKILLER, MORIRAS POR ELLA」 日本劇場未公開 2008 監督:Miguel Marti
ホラー映画というのは実に混沌としたジャンルで、
その先から枝分かれするスラッシャー物、ゾンビ物、
ゴア物、サイコ物などといった細かなサブジャンル分けのうち
様々な要素を併せ持つとりあえずなんでも入れとけというノリの
ゴテ盛りのような、どのジャンルとは特定しがたい
実に不思議な映画が生まれてくる事が結構な割合であったりします。

これも以前お話させていただいた通り、
ホラー映画というの例えるなら駄菓子のような、
そういう雑さをも許容されやすいジャンル故に、
ポジティブに表現するのであるなら「意欲」を
作る側も込めやすい土壌があるのだと思います。

単にあれもこれも乗せておけば、
どれかの要素がひっかかるだろうという考えの上で、
そういうものが生まれてくるのかも知れませんが、
まぁそこはそれです。

我々観る側の人間は出来上がった物をただ、
面白い面白くないと判断するのみですので、
どういう意図を持ってそれが生まれてきたのか?
という部分はあまり深く考えなくてもよい事かも知れませんね。


バーバラ嬢と哀れなチンピラさんのツーショット
まぁそれはそれとして。

色々混ざりあって発酵食品のような深い味わいを醸し出す場合もあれば、
単に謎の物体と化して異臭を放つだけの場合もある訳で、
前者のようになるにはそれ相応の計算、または偶然が必要です。

単に考えなしでとりあえず色んな物を混ぜた場合は大凡後者となり、
口に入れる事すら憚られる事になるものです。

ただし、後者となった場合も一定の人にとっては、
その匂いも単に腐臭ではなく癖になる匂いと感じる場合もあるので、
人の感性というものは実に複雑怪奇です。

このカオスなホラー映画というジャンルを支えているのも、
きっとそういった人の感性の雑多さだったりするのでしょうね。


はてさて本日紹介させていただくジャンルごった煮映画、
「セクシー・キラー リベンジ・オブ・ザ・デッド」の、
お味は如何に?


医大に通うバーバラは人形のシンディに理想を見出す、
ちょっと変わった女の子。ただし彼女には裏の顔があった。
自分の意にそぐわなかった者、単にムカついた相手など、
片っ端から殺してまわる殺人狂だったのだ。

殺した相手はゆうに10人以上。
一切の痕跡、証拠を残さない鮮やかな手口に、
世は犯人の事を”キャンパスキラー”と呼び恐怖していた。

そんなバーバラは、事件の検死解剖に関わっていた、
同じ大学に通うオタク気味な天才青年トマスと、
ちょっとした誤解から恋人関係となり、
一緒にパーティへゆく約束を交わす事に…

だがそのパーティ夜、
トマスが発明した脳波解読マシーンの副作用から、
恐るべき異変が起こり始めていた…


えぇと…この映画、実に時系列の進み方が特殊で、
タイトル部分で少し遡ったシーンが展開しますが、
ここまでの過程がすでに起こった後の事として、
パーティ当日から本編がスタートします。

そしてパーティ会場へ向かう最中、
愛犬を轢き殺したスポーツカーのチンピラ風の男を
締めあげている最中の思い出語りとして、
ここまでの流れを追想するかたちで映画が進行してゆくのです。
天才トマスくんはかなり良いキャラクターをしています
キャンパスキラーを追うヴィレ警部補ですが実はかなりの悪党です
時系列が一本化するのはラスト20分前後。

ここで一つの事を思い出します。
タイトルをご覧ください。
そうです…ついてますよね?
「~オブ・ザ・デッド」の文字が。

実はこの映画ゾンビものでもあったのですね。
タイトルからのイメージだとジャンルとしてメイン扱いのように思えますが、
ゾンビパニックが起こるのは実に本編時間にして約2/3を越えた、
ここからなのです。

まぁ「~オブ・ザ・デッド」の部分は邦題として、
勝手にくっつけられただけなんですけどね。

あくまでこの映画のメインとなるのは殺人鬼バーバラなのです。


終盤の賑わせ要員として登場するようなゾンビではありますが、
造形等チープさを感じさせない程度になかなかよく出来ており、
残酷描写も派手さはないもののツボを押さえた感じで
効果的に用意されています。

あと、本作のゾンビはある程度の知能を有し、
銃をはじめとする道具を活用したりもするのですが、
そういった部分は死亡時間に比例して低下してゆき、
最終的に残る本能=食欲のみで行動しはじめるという
そんな説明がつけられています。

こういったゾンビについての解釈も作品ごとの個性として
色々と差があるのは面白いですね。

鮮度=能力差であったり、
元々の身体能力の差が反映されるだとか、
道具を活用したり走ったりするゾンビと、
クラシックスタイルのゾンビを同一作品内で共存させるような
そういう設定を設けてある作品も増えてきている気がします。

モンスターとして扱う上でそれぞれに利点はありますから、
こちらも全部乗せでという発想なのでしょうね。
色々仕込んである小ネタを探すのもお楽しみポイントです
はてさて色々な意味で実に奔放でカオスなこの映画なのですが、
これまた受け付ける人とそうでない人で、
大きく二分する映画だと思います。

おそらく受け付けない人はまるでダメな部類ではないかと。

本編内でバーバラが視聴者の方に語りかけてきたり、
突然ミュージカルシーンが始まったりするそういうノリを、
許容できるかどうか?ここがキモですね。

まぁバーバラの語りかけについては劇中他の人間にも聞こえていて、
「彼女が精神的におかしい」という風にも取れる描写もあります。

その辺りはメタ的なものなのか、
単に自意識過剰な頭のおかしい女の一人芝居に過ぎないのか、
好きなように解釈してねという事なのでしょう。


まぁそこを含めて彼女、バーバラですよ。

いずれにせよ物語の中核というのは間違いなく
彼女のキャラクターですので、
バーバラについて受け入れられるかどうか?で、
その価値が一変するのがこの映画なのだと思います。


おそらく彼女に対しての拒絶感、嫌悪感があった場合、
本作のコメディ要素の全てがただの悪ふざけに見えてしまうでしょう。

「カタコンベ」の時もそうでしたが、
軸となるヒロインのアクが強すぎると
どうしてもそうなってしまうのでしょうね。

特に本作はコメディ>ホラーの力配分ですから、
ノレるかノレないかの差で感じ方の振れ幅も
大きいのではないかと思います。

さらに本作のバーバラも「カタコンベ」のヴィクトリアと同じく、
かなりくっきりした系の”濃い”顔立ちをしています。

実に整ってはいるのですが、
場面によってはひじょーに怖い顔に見えたりするのですね。
まぁバーバラの場合は殺人鬼ですからそれで正しいのかも知れませんが。

例によってまた同じような事を言うようですが、
バーバラ役の女優さんとしてもっと日本人受けするような、
幼い顔立ちの方を立てていれば
もっとカルト的な人気を誇る作品になっていたかもしれません。

作品としてはそれぐらいのポテンシャルは眠っていると、
繰丸個人としては感じる事ができました。
※スタイリッシュにゾンビ相手に無双する映画ではありません
あと邦題の「リベンジ・オブ・ザ・デッド」の部分は
わりと不要だったかも知れませんね。

確かにクライマックス部分はゾンビパニックですが、
ゾンビものとして期待して観たものの
ゾンビは終盤1/3にしか出てきませんとなれば、
なんか思ってた物と違うんですけど?みたいに感じる人も
結構出てきちゃうのではないのでしょうか?

元々からして女殺人鬼バーバラの映画な訳ですから、
普通にそこを押してよかったのではないかと思います。


こんな具合に手放しではオススメできませんが、
ある意味真っ当な発酵食品的な香りを放つ珍作として
立派に仕上がった一作ではありますので、
興が乗った方は是非とも手にとってみてください。

周波数さえ合えば運命の一本ともなれる可能性をも秘めた
作品だと思います。

まぁ…本当に変な映画ですけどね。

例によってワンコインで買えるセルDVDも出ておりますので、
一回ファーストフードにでも行った気分でいかがでしょうか?

事前に諸々踏まえた上であれば、
充分にお値段以上にお楽しみいただける一作ではないかと。


では今回はこんなところで。
お付き合いありがとうございました。
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