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「TRESPASSERS」 日本劇場未公開 2006 監督:Ian McCrudden
ホラー映画というのはお安く上げられる
低予算映画の代表選手というようなお話もこれまでに
何度か繰り返しさせていただいて来ましたが、

1999年、
そのジャンルに一つの表現方法的なブレイクスルーが起こります。

ご存知「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の大ヒットです。

もともと擬似ドキュメンタリーという手法じたいは、
これまでにも存在していましたし
ここの部分は実はそれほどトピックたる要素ではありません。
(その手の手法を用いた過去の名作としては「食人族」が挙げられます。)


それよりもこの映画のヒットを受けて、
多くの製作者が「これだ!」と膝を打ったのは、
おそらくハンディカム撮影という部分でしょう。

単に手ぶれ等による臨場感どうのというお話ではありませんよ?

意図的にそういう手ブレ演出を盛り込んだ物は
当然過去にもありますしね。

まぁもちろんその部分も無いとは言い切りませんが、
要は機材を限定化する事であくまで演出の一環として
造り手的に都合の悪い部分をはっきり見せないで済むという
そういう部分を手法として一般化させた事が、
この「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の最大の功績であると、
繰丸は考えます。


主人公コリンとヒロインアシュリーのお二人です
粗を隠しつつ視聴者に見せて良い情報のプライオリティをコントロールし、
見せ場に向けた「溜め」としても機能してくれる訳ですから、
手法としてはホラー映画との相性バッチリな訳ですね。

そりゃあ飛びつくってものです。

完全に擬似ドキュメンタリー的な作品のみでななく、
劇中でハンディカムを小道具として効果的に利用したり、
演出としての方法論だけをいただいた感じのものもあったりと、
兎に角この映画が低予算映画にもたらした恩恵というのは、
決して小さな物ではありません。


技法としてはきっと新しい部類ではなかったのだと思いますが、
そういった創意工夫の部分で「安っぽさ」をも演出として昇華でき、
上手くハマればちゃんと受け入れられるという前例となったが故に
ブレイクスルーを引き起こすきっかけとなったのでしょうね。


さて、本日紹介させていただく「デビルズ・アイランド」も、
おそらくそういった影響下にあると思われる作品です。
カメラオタクのラッキーさん なんかいい顔してますよね
ローズ嬢は典型的なお色気担当です
サーフィンに打ってつけの穴場のビーチを見つけたと
兄のタイラーに誘われたコリンは、

ガールフレンドのアシュリーはじめ、
カメラオタクのラッキー、ローズ、ハビエルといった友人たちと、
一路メキシコのプント・アポリオボスという名のビーチへと向かう。

8時間以上の車での長旅の末に目的地に到着するも、
岬で落ち合う約束をしていたタイラーの姿が見えない。

きっと街へ買い出しにでも出かけたのだろうと、
一行は早速ビーチの波を堪能し楽しいひと時を過ごすのだった。

だが、その最中にひとりビデオカメラでイタズラをしていたラッキーが、
隠し撮りの映像から自分たち以外の”誰か”がこちらを伺うように、
岬の周辺をうろついている事に気付き、
その気配を追ってカメラを回し始めた。

丁度同じ頃、ハビエルが岬の外れにタイラーたちの車が、
荒らされた状態で放置されている事を発見する。

さすがにおかしいと感じたコリンはタイラーの携帯電話へ
連絡を入れようとするも電話は通じず、ラッキーも戻ってこない。

すっかり遊んでいるムードではなくなり、
ハビエルはとにかく何かしら情報を得るべく
ビーチに使用可能な状態で放置されていたバイクを使い、
アシュリーを連れ立って近くの村へ行く事に。

一方ビーチに残ったコリンとローズは、
タイラーがキャンプを張っていると言っていた集落跡を探す途中、
無造作に放置されたラッキーのカメラを見つけ、
それに残されていた映像を確認して愕然とする。

岩場に散乱する無数の白骨。
今まさしく目指している集落跡の惨状。
そして何か人影らしき物にラッキーが襲われているところで、
映像は途切れてしまっていた…


やがてゆっくりと日が落ちてゆく。
地元の人間は決して立ち入らぬ呪われた岬の夜が、
静かに忍び寄って来るのだった。


あらすじをご覧の通りこの映画、典型的な
「レジャーに来た若者たちが不慣れな土地で酷い目に合う」系ホラーです。

筋立てやらについてはかなり王道直球というところですね。
変に捻ってあったりする部分も大きく斬新な要素もありません。
そういう意味では安心感のある作品と言って良いでしょう。
ギターが友のハビエルさんはちょっと変な人
ただ演出的な部分で
「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」的な手法を踏襲しており、
若者たちが撮影したレジャーの道中記録っぽい空気感を演出しつつ
異質な要素のチラ見せを重ねながら
徐々にホラーとしての雰囲気を盛り上げてゆくという感じで
物語が進行してゆきます。

実におあつらえ向きにカメラオタクのラッキーなる人物が
コリンたちご一行メンバー内にいる訳ですが、
彼が撮影した記録映像を軸に…という検討案もあったのではないかと
そんな風にも感じられます。

実際の所彼のカメラ映像の扱いは要所でチラ見せの手段として
活用される程度のものですけどね。

しかしもう一人カメラマンが同行しているかのような、
そう感じさせるような撮り方が多様されていたりもします。
さすがにホームビデオ的な映像ではありませんけどね。


そこの部分は実に上手く機能していて
恐ろしい事態に巻き込まれて行っているという空気感が
本当によく出ていると繰丸は感じましたよ。
ちなみに作品紹介等ですでに書かれている事が多いので、
伏せずに書いてしまいますが本作にはゾンビが登場します。

まぁ厳密にはそれとはまた異なるチャカルなる存在なのですが、
そうと記載されている事の方が多いですし、
描写としてもその文脈で描かれていますので、
ゾンビという認識で問題ないのかな?と思います。
(走ったりキビキビ動く系ですけどね)

でも本作に登場するゾンビはそれ単独では感染もせず、
頭を撃ちぬかないと死なないという不死性もありません。

実はそもそも蘇った死者ではないのですね。
呪いによって怪物化させられた人間なんです。

設定としてはオリジンたるブードゥ教のそれに近いですか。
あれも儀式等で自由意志を奪われた人間の事で、
決してリビングデッド的な存在ではない訳ですし。

またも設定を弄ってみたら原典に近くなったパターンですね。
こういう事があるから創作というものは面白いです。


さて、先にあれこれお話した例に漏れず、
この映画も低予算作品なのですね。

それが故にチャカルといった怪物や、
ゴア的な描写部分が画面にはっきりと写る場面はありません。

別にあまり怪物が出てこないという意味ではなく
チャカルそのものが出てくる場面は結構あるのですけれど、
手ブレはもちろん、細かいカット切り替えや早回しなどを駆使し、
まじまじと凝視できないような演出がなされているのですね。

ここは切迫感とスピード感が出ていると感じる人と、
単純に見難いと感じる人に分かれるかも知れません。

ただこうしてはっきり見せない事によってチャカルについては
得体の知れない怖さはきっちり出ていると思います。

直接描写を避けたが故の演出の妙が効いているのではないかと。


あと繰丸個人的に感じた事ですが、
この作品の設定というのはもしかすると日本国内に置き換えても
結構面白い物を作る事ができるのではないでしょうか?

近隣の漁村の住人たちからも禁忌扱いされている呪われた岬とか、
かなり日本的なそれと相性良い気がするのですけどねぇ…
なんだか稗田先生とか出てきそうな物になりそうでもありますが。


まぁそれは兎も角として、
結局は創意工夫なのだという事を再確認する事ができる
秀作と呼ぶべき作品ですので、
ストロングスタイルなホラーをご所望の諸兄がたには、
是非手に取っていただきたく思います。

素材はシンプルでもちょこっとソースに一手間加えるだけで
美味しく召し上がっていただけるものなのです。

これまたワンコインで買う事のできるセルDVDも出ていますしね。

夏の終わりをビーチを舞台としたホラーと共に過ごすというのも
悪くないのではないでしょうか?


では今回はこんなところで。
お付き合いありがとうございました。
よく考えるとこの二人かなり重大なセオリー破りをやってます
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