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2024/04/29 (Mon)
NEEDLE FISH
NO.024
ニードルフィッシュ
NEEDLE FISH
この世界には数多くの恐るべき生き物が生息しており、冒険者たちにとっての脅威として立ちはだかってくる訳であるが、中には悪魔的な知恵により生み出された人工的な怪物も多数含まれ、その特徴としてミミックなどを例に挙げるまでもなくきわめて悪趣味かつ悪意に満ちた生態を持つ物が大半を占めている。
ニードルフィッシュと呼ばれるこの怪魚もまた、「より大きな危害を齎せるように」と、むき出しの悪意のままにデザインされた存在であり、生き物としての在り方を捻じ曲げられた怪物である。
元々からして彼らは漁師たちからも恐れられる危険生物ではあったのだが、邪悪な魔術師たちはこぞってその危険性に磨きをかけ、芸術的とも言える「生きた凶器」を生み出す事に成功した。
全長は元の1.5から2倍に及ぶほどに大型化し、ギラギラと輝く全身はその見た目に違わぬ固さを備えるに至り、もはや『針』どころではなく『槍』とでも呼ぶべき体躯を誇る。
そして大きく発達しトビウオのようになった胸鰭により従来より高く、遠くへ飛ぶことが可能となり、さらに、ごく原始的なものであるが肺を与えられている為、乾燥には弱いものの呼吸に左右されず水から離れて活動する事も可能となった。
これらはすべて、如何にしてこの危険生物をより広い範囲で有効活用するか?という一点のみで施された工夫の賜物であろう。
もともとは海に住んでいた種を改良したものであるが、水質を問わず適応できるよう調整されている為、ニードルフィッシュの多くは侵入者に対する番犬ならぬ番魚として迷宮や洞窟などの地下水流に放流されており、その水源周辺を生息圏としているのが主である。
元来からある習性に習い、彼らも光に反応して攻撃行動を行うので、松明やカンテラなどという光源を片手に暗い地下道を移動する冒険者たちを迎え撃つには格好の存在なのだ。
安易に地下水道近くにキャンプを張ろうとしようものなら、凄まじい速度で水中より飛び出してきた彼らに何が起こったかもわからないまま絶命させられてしまう事であろう。
ニードルフィッシュの最大の脅威は不意打ち気味に襲い掛かってくる必殺の一撃であるが、その恐るべき早さの強襲を避けたとしても注意せねばならない。
十分に推力を乗った水中からの初手に比べると速度こそ落ちるが、彼らの靭やかで強靭な身体は滑空するには十分な高さを飛び跳ねる事が可能な力を備えており、二度、三度と魔弾は襲い掛かってくるのだ。
また、その貪欲さと凶暴性を体現するような牙は鋭い顎先に負けず劣らずの威力を持っており、革鎧程度であれば簡単に噛み破ってしまうほどであるという事も覚えておくとよいだろう。
顎先にしても牙にしても、一度捕らえられてしまうと引き剥がすのは困難であり、ただ力任せにそれを行おうとするとより深く食い込むべく激しく身体をくねらせ始めるため、却って傷口を広げる結果となるのでそこも注意せねばならない。
害意そのものが形となったような怪物であるが、生き物としては見た目ほどに頑丈な部類ではないのがまだ救いであり、行動パターンも単純であるため落ち着いて対処する事ができれば大きな被害を出す事もない相手とも言えるが、奇襲戦法を常とする彼らと遭遇して常に沈着冷静でいることができるかといえば、それは困難な事なのかも知れない。
さて今回は”ほぼ”オリジナルモンスターと言ってよい感じのものです。
”ほぼ”というのは、ニードルフィッシュじたいは決して架空の怪物などではなく、実在する生き物であり、それを脚色してモンスター化しているからなのですね。
「ダツ」といえばピンと来る方も多いと思いますが、恐怖画像などでweb上でも認知度を上げつつあるあの殺人魚を膨らませてみた感じなのです。
(まぁ英名そのまんまの名前になっていますが)
ゲームに登場する魚系モンスターといえば、だいたいピラニアかサメといったものがモチーフになったものが多い印象ですが、恐ろしさで言えばダツもかなり上位に食い込む存在感を放っているのではないでしょうか?
実際、漁師さんなどの間ではサメより恐れられているだとか、サーフボードをぶち破って来るとかもうそういう話だけでもモンスターじみている気がします。
殺人魚といえばフライングキラーという映画(某大御所監督のデビュー作品ということになっているので、ご存知の方も多いかも?)を思い出したりもする訳ですが、今回紹介しているニードルフィッシュにも多分にその影響が含まれている感じになっています。
ああいったB級ホラー映画に登場するモンスター的なノリも、ゲームなどでポピュラーな伝承系モンスターとはまた違った魅力がありますよね。
ゲーム黎明期にはSF小説や映画などといった他ジャンルからの引用がわりとよく行われていたものですが、近年は神話や伝承をより深く掘り下げ、その解釈を深めてゆく方向でモンスターが語られる傾向が強い気がします。
決してそれは悪い事ではありませんけれど、何もかもがその価値観一辺倒になることなく、自由な発想でアイディアをピックアップしてきてみたり、また飛躍させて好きにモンスターを想像してみるのも、一つの醍醐味としてあるのではないかと思ったりします。
個人の思いつきで生まれた創作モンスターが、何かのきっかけて後にジャンルの定番化してしまう…なんてことが起こりうるのも創作の面白さだったりするのではないでしょうか?
普段あれこれ細かい事をつらつら描き続けているaVAshiriが言うのも何ですが、もっと奔放でいいんじゃないかな?なんて考えたりするのですね。
それでは今回はこんなところで。
ありがとうございました。
※モンスターの解説は基本的にaVAshiri独自の解釈によるものですので、
迂闊に他所で披露してしまうと恥をかいてしまう事になるので、十分にご注意ください。
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