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過ぎ去りし日々のそれこれ
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HAG
 
HAG NO.021
ハッグ
HAG

 魔物と呼ばれる存在のその多くは、地下迷宮など大凡人里とは離れたところにその生息圏を持つものなのだと思われがちだが、意外にも人里近くに住み着く者たちも実は少なくない。

彼女(…と呼んでよいものかどうか迷うところであるが)らもそういった範囲内に隠れ住む類の者たちである。

ハッグ、すなわち魔女やら鬼婆とも呼ばれる彼女らは、人の集落にほど近い街道ぞいの森の中や、山の麓などに居を構えている。

そしてその近くを通る者を住処に招き入れては、生皮を剥ぐなど残酷な手段を用いていたぶり殺し、生き血を啜ったり、その肉を喰らったりする。

特に子供の肉を好むようで、時折人里まで降りてきて一人捨て置かれている赤子などを攫う事もある。

その姿は醜悪な人間の老婆のように見えるが、実際に齢を経て人などが変じたものなのか、元々そういう種族であるのか不明であり、外見もそれが本当の姿なのかさえ実のところよくわかっていない。

というのも、ハッグは変化も得意としており、あどけない少女や妙齢の美女の姿で現れることもあれば、見上げるほど大きな悪鬼の如き姿を取ることもあり、死後狼や鼬といった生き物や、それどころか枯木に変じたなどという話も伝わっていたりもするため、広く知れ渡っている存在のわりに謎が多いのだ。

モノに取り憑く悪霊の類がその正体ではないかというのが一般的な説であるが、近年では齢を経る事で存在がやや曖昧になり、魂が魔界と呼ばれる領域に踏み込んでしまったことで悪魔的な存在と化してしまった、半悪魔とも呼ぶべき存在ではないか?という説が支持されつつあるようだ。

その何れにせよ、何故決まって老婆の姿になるのかは甚だ謎なのであるが…


ここまで語られた特徴からも伺える通り、ハッグたちは原則的に単独行動を常としている。
そして幻惑や変化の術を用い、獲物を捕えるために何重にも罠を張り巡らせる。

性質は狡猾かつ残忍で、人の弱みにつけこむことを得意とする。

基本的に知恵を巡らせて獲物にありつくタイプであるが、いざその策が破綻しようものなら即座に力押しに転じられるほどの身体能力も持っているので油断してはならない。

飛ぶかように山野を走る脚力と、山猫の如き爪、山犬の如き牙を兼ね備え、鋭い肉包丁を振り回すその姿はまるで悪夢であり、巣である足場の悪い森や山中でハッグに出会ってしまった場合、死を覚悟せねばならないだろう。

このように見た目以上に恐ろしい存在であるハッグであるが、悪魔的なそれの多くがそうであるように特定のルールに縛られる存在でもあり、接し方によっては富を齎す知恵や道具を与えてくる事もあるという話もある。

もちろんそのルールから外れた場合、待っているのは『死』なのであるが、命がけでその恩恵に預かろうとする冒険者も少なくない。

ちなみに彼女たちの住居は常に特異な結界に守られた隠れ里とも言える場所にある為、ハッグ自らが招待しようと思わない限り、容易に近づく事はできないという事を心しておかねばならない。


 メジャーどころのRPGではほぼ見かけないモンスターですので、名前を聞いてももうひとつピンと来ないという方も多いのではないかと思いますが、所謂『山姥』だとか『鬼婆』とか呼ばれる感じのものだと言えば、大凡のイメージがつかめるのではないでしょうか?

 山姥と言うと、昔話の「三枚のお札」に登場するものが有名だと思いますが、ああいった感じで山野に住み着き、住処に誘い込んだ人間を食べたりする怪物で、様々な妖術を操ったり、並外れた身体能力を持っていたりもします。

海外のおとぎ話だと、「ヘンゼルとグレーテル」に登場するお菓子の家の魔女などがその近い感じですが、そういった人喰い魔女などの類もハッグに分類されます。

基本的に残忍でずる賢く、怪しい術を操ったりもする人喰いの怪物な訳ですが、説明文にもある通り、場合によってはそういった害のみではなく、益の部分がフォーカスされる状態で登場してくるパターンもあったりします。

その場合も、人里から少し離れたところに一人だけで住んでいる事は共通している訳ですが、何かしら決まりごとを破らない限りは危害を加えられる事もなく、むしろ利益をもたらしてくれる存在だったりもするのですね。

例えば相談ごとに知恵をかしてくれたり、不思議な薬や富を齎す道具などを貸してくれたり、機織りや野良仕事を手伝ってくれたりと、得られる恩恵も様々なパターンがあるのですが、何れの場合も何かしら決まりごと、例えば「その顔を覗き込んではならない」だとか「定められた報酬は以上でも以下でもあってはならない」といったものがあり、人間がそれに背くとそれまでの益の部分が一気に裏返り、害を及ぼされてしまいます。

そういったパターンのお話は、妖精や巨人を題材としたものにも多く見られるようで、この山姥などと呼ばれる者たちも、きっとそれに類する存在であったのではないかということが伺い知れるのではないでしょうか?

また、山姥については必ず定位置に住んでいるという決まりごとがある事が多く、場合によっては岩屋や祠などに監禁されているかのような状態で登場してくる事も少なくない為、妖精や巨人などといった元々が直接的に信仰対象だった者が変じた存在ではなく、それらと連なる巫女の類がそのルーツではないかとも推測できるのではないかとaVAshiriは思ったりする訳なのですね。

 金太郎の育ての親も山姥だったりする訳ですが、そういった特別な立場を与えられたりする事からもわかる通り、かつては近隣集落の神事を司っていたりしたものの、何かしらの理由により人里に住むことが許されなくなり、山野へと追われた巫女などが時代を経て怪物として扱われるようになったという感じなのでしょうか?

海外のおとぎ話などにおいてハッグが、悪魔の使徒である魔女などと混同されるようになった事も踏まえると、あまり大きくハズレた考え方ではないのではないでしょうか?

こういった古代宗教などの巫女がルーツではないかと思われる怪物はわりと多くいるようで、追々その辺りのお話もしてゆこうかなどと思いますので、お楽しみに。


それでは今回はこんなところで。

ありがとうございました。


※モンスターの解説は基本的にaVAshiri独自の解釈によるものですので、
迂闊に他所で披露してしまうと恥をかいてしまう事になるので、十分にご注意ください。

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