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2024/05/04 (Sat)
SKELETON
NO.019
スケルトン
SKELETON
邪悪な術により地獄から蘇った骸骨戦士。
下等な悪霊などを朽ち果てた屍に封じ込める事によって生み出されるのであるが、大凡の場合、道半ばで倒れたまま放置されてしまっている冒険者などといった流れ者たちのそれが、再利用されるかたちでこの哀れな悪の下僕を誕生させる。
基本的に感情や思考力は失われているので、生み出した術者の命令に従うのみの存在であるのはゴーレムと同じなのであるが、術式のみで動くそちらと異なり、その辺りを浮遊しているような下級霊の類を利用した術で動かしている為、行動にノイズが多く出る傾向があり、あまり複雑な命令を熟すことができない。
とはいえいくらでも死体が手に入るのであるならば、これほど優秀で取り回しの便利な兵士はなく、一切の無駄口を叩かず、そして眠る事も食事を摂ることもなく働き続け、たとえ粉微塵に粉砕されても再度術を使えば元通りに復元し、また動きはじめてくれるので、魔術師がちょっとしたボディーガードとして身の回りに置いていることが多い。
もっとも、これは最大限に命を弄ぶ術によって生み出される存在であるのはここまで語ってきた通りであり、この哀れな不死者をこき使っているような魔術師は、往々にして何かしら問題有りな輩だったりする訳であるが…
彼らの優秀さは単に寡黙である事だけではない。
彼ら骸骨戦士たちは肉の重さを引きずるゾンビなどと異なり身軽であり、器用に武器を扱う事も出来るのだ。
これは触媒になった屍のそれをある程度は受け継ぐが故なのであろうが、基礎的身体能力はほぼ生身の人間のそれと遜色ないと言える。
ただし、先の説明の通り浮遊霊の類を取り込んで動いているが故のノイズに引き摺られる部分もあるのか、いくらの劣化は免れないようで、あまりに突出した能力がそのまま引き継がれるということはない。
さらに言えば心理面での動きがまるで失われる為、何の駆け引きもなくただ字引通りに動くだけになってしまうというところも、生前の素養から大きく劣るようになってしまう原因として重大な要素であろう。
なお、彼らを構成する骨というのは術がかたちを為す際に組み上げられる像のようなもので、実際の屍の内にあるそれとは本質的に異なる。
屍はあくまで悪霊を封じて使役する為に用いられる触媒に過ぎず、術と共に消費されて骸骨戦士として再構成されるのだ。
故に、どれだけ損傷の激しい屍を用いようと、五体がきちんと整ったスケルトンが誕生する事になり、さらに先の説明どおりどれだけ破壊されようと、術さえ括り直せばまた元通りに復元されるのである。
そして、より高度な術者となると、屍をまるごと使用することなく、単なる血の雫や、歯といった部分的な小さな触媒でスケルトンを生成する事も可能となる。
ちなみに番兵として手元に置いているコボルド等といった子鬼たちの屍を、好んで再利用してスケルトン化する魔術師がいるという話を聞くが、死をもってしても職務から開放される事無く働き続けさせられるとは、とんだ雇用環境だと言わざるを得ない。
古来より『骸骨』はとても魅力的なモチーフとして認識されていたようで、ゲームや映画などの登場する典型的な骸骨戦士的なもの以外にも、様々なかたちで伝説などに登場してきます。
生きている状態では露出する事がなく、命のあるかたちでは決してお目にかかることのできない物である性質上、ストレートに死をイメージさせるものであるのと同時に、その機能美溢れる、「オ、ナイスデザイン」と思わず漏らしたくなる形状もイマジネーションを呼び起こすきっかけとなっているのでしょう。
時に哀れな死霊の姿として、時には神の姿として、その扱われ方の振れ幅は本当に大きなものです。
さて、今回解説させていただいているスケルトン、つまり骸骨戦士は、ファンタジーというジャンルにおいては本当にポピュラーな悪の手先で、神話などにも登場してくる、最古の戦闘員ともいうべき存在ですね。
(思えば一般的に知名度の高いマスク尽き黒タイツになってからショッカー戦闘員も骨の意匠が入ったデザインになっていますね)
骸骨であるというイメージ上のハッタリ感と、皮も肉もない骨だけが丸出しになっているという実際の容姿としての弱々しさというものが上手く共存していて、悪の尖兵としてはこれ以上ない優れた資質を持ったモンスターだとaVAshiriは思う訳ですよ。
ゲームなどに登場する場合、おそらく古典映画などからの影響なのでしょうが、わりと強敵に設定されている事が多いですね。
場合によっては、物理攻撃に耐性があり、魔法でしか有効打が与えられないというような感じになっていたりもしますし、ちょっと上級な雑魚モンスターという感じで広く認知されている感じなのではないでしょうか?
剣と盾を構えた「イカにも」な感じの骸骨が、見掛け倒しの弱々な感じというのも拍子抜けですから、この辺りも見た目のハッタリ感がかなりプラスに働いているというところもあるのかも知れません。
ちなみに、ドット絵のデザインの方では、スケルトンの手持ちとしてはポピュラーどころである剣と盾というところをあえて外し、銛を握らせてあります。
見るからにやりそうな感じの強敵感よりも、一山な雑兵感を出したかったのでそういうチョイスにしてみました。
集団でわーっとよってきてぷすぷす突き刺してくる感じで襲ってくるイメージですね。
キシキシと関節を軋ませながら、ぎくしゃくと襲い掛かってくる骸骨戦士の群れ。
いかにもヒーローに蹴散らされるためだけの存在という感じで、好いと思いませんか?
倒されると景気良くバラバラになるのもチャーミングポイントですよね。
スケルトンには他のアンデッドや、亜人系の雑魚とはまた違った魅力が詰まっていてaVAshiriも大好きなのです。
それでは今回はこんなところで。
ありがとうございました。
※モンスターの解説は基本的にaVAshiri独自の解釈によるものですので、
迂闊に他所で披露してしまうと恥をかいてしまう事になるので、十分にご注意ください。
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