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過ぎ去りし日々のそれこれ
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GIANT SLUG NO.005
ミミック
MIMIC

 地下迷宮などで不用心に投げ置かれた宝箱には警戒せねばならない。
何故なら、多くの確率でこの危険きわまりない生物がそこに潜んでいるからだ。
このミミックというモンスターは、事もあろうに宝箱に擬態して獲物を待ち伏せするのだ。

迂闊にもその蓋を持ち上げてしまった者は、まず強烈な酒気を帯びたガスを浴びせかけられる。
続いて間髪入れず、力強く靭やかな触手が獲物の全身をあれよと言う間に巻き取り、自由を奪ってしまう。

しかもその触手の先端にある鍵状になった棘からも、先程のガスよりさらに強烈なアルコールが分泌されており、 拘束するや否やずぶずぶと肉に食い込み、流し込み始める念の入りようである。

この強烈な不意打ちを食らった哀れな被害者はそのまま何の抵抗もできず、
幾重にも細かい歯がヤスリのように並んだ大きな口に流し込まれるのを待つのみとなる…

万が一、奇跡的にミミックの一連の攻撃から逃れられたとして、 強固な宝箱そのままの強度を誇る外殻を持ち、強力な酒気ガスを撒き散らしながら、 触手を利用して空間を立体的に移動し、人間の頭などトマトのように簡単にすり潰してしまう、 食欲の権化のような恐ろしい顎で襲いかかるそれを下すのは容易な事ではない。

ミミックにしてみれば、最初の獲物を不意打ちで仕留めるというだけの事でしかなく、 普通に襲いかかっても生半可なパーティなど簡単に全滅させてしまえるほどの力を備えているのだ。

とにかく何より、怪しい宝箱には触らぬ事が肝要なのである。

ちなみにミミックが放出する強烈なアルコールは、飲み込んだ獲物が体内でじわじわと消化されると共に 発酵する際に出来上がる言わば『人間酒』とも言うべきもので、犠牲者の成れの果てなのである。

これまで魔術によって数え切れないほどの奇怪な怪物が人為的に生み出されてきたが、 ミミックというモンスターはその中でも最も悪趣味かつ悪意に満ちたもののひとつであることに間違いはない。

 
 ドラクエでは即死呪文を使ってくる部分でもヒヤヒヤさせられますが、通常攻撃も やたら痛そうに感じてしまいます。
そもそも出てきた瞬間が一番びっくりさせられて怖い訳ですが。

そんな感じでいかにもゲーム向けのギミックモンスターですから、完全にゲーム由来の 創作系かと思っていたのですが、
何やら民話にルーツがあるという説もあるようで、 なかなかに掘り下げて調べる甲斐のありそうな題材のようです。

開け閉めする部分が大きな口になっていて食いついてきたり、覗き込んだ瞬間、 同じように向こう側からもこちらを覗き返して来たり、はたまたにゅっと手が伸びてきたりと、 箱に限らず日常的な道具などから人体と同じような部位が生じたりして襲い掛かってくる というパターンのバケモノは、日本の妖怪にもわりといたりしますし、ミミックもおそらくは そういう類の「お化け」がルーツだったりするのでしょう。

 普段見慣れたはずのモノ、もともと命を持っているはずのないものが、想定外の何かに 変じて動き出し、人に害を為すという事についての恐怖感。 加えて「閉じているものを開く。」「見えない部分を覗き込む。」という行為に伴う潜在的不安感。
そういった感情は時代を問わず普遍的なものなのでしょう。

故にこのミミックという嫌なモンスターも「とてもよくわかる」ものとして、ともすれば不快感しか 与えない底意地の悪い仕掛けであるにもかかわらず、こうして受け入れられて いるのではないでしょうか?

今やすっかりその存在も知れ渡っており、もはやありふれた見え見えの 罠であるにもかかわらず、これまたひっかかっては何度も何度も びっくりヒヤヒヤさせられ続けている辺り、このモンスターのギミックは秀逸なものであり、 このミミックをコンピューターRPGに最初に持ち込んだクリエイターのセンスはもっと 評価されるべきなのかも知れません。

それでは今回はこんなところで。

ありがとうございました。



※モンスターの解説は基本的にaVAshiri独自の解釈によるものですので、
迂闊に他所で披露してしまうと恥をかいてしまう事になるので、十分にご注意ください。

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