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2024/05/04 (Sat)
LARVA
NO.020
ラルヴァ
LARVA
この世とあの世の間に潜む影のような悪霊。
罪人などの穢れた血や精液から生じるとされ、人間の生命力、気力といったものを糧としている。
その存在はきわめて薄いもので、強い光の中であったり、逆に真っ暗闇の中でも完全にかき消されてしまう。
この通り彼らは存在そのものが稀薄であり、物理的にも実に脆く無力なのであるが、精神にある種の圧力をかける事を得意としており、一度ラルヴァに魅入られてしまうと平常心を保つことができなくなってしまう。
時にそれは幻覚、幻聴を伴う恐ろしい白昼夢を引き起こしてしまい、最悪取り返しのつかない惨劇が繰り広げられてしまう事もある。
彼らの薄い身体を支えるのに必要な栄養分は、実際のところ羽虫の吸う血程度のそれで十分なのであるが、恐怖や狂気などという濁った感情は、彼らにとって何よりのスパイスになるようで、ラルヴァたちは好んでそういった血みどろの惨劇を演出するべく立ち回り、過剰とも言える被害を広げてまわった最後の最後に、ただ一滴だけ至高の美酒を得るように、十分に熟成された生命力を一口だけ吸い取る。
ラルヴァにしてみれば、あとは全て残りカスでしかないのだ。
また、彼らは死期の近い病人に付きまとう事も好み、散々に死の恐怖を煽った挙句、絶望と孤独の中で死んでゆく魂から、駄目押しをするようにほんの僅かだけ生命力を吸い取るのであるが、実に悪魔的な悪趣味さと言わざるを得ない。
ただ退治するのみであるならば容易いが、関わり方を誤ると自分自身さえも敵となりうる恐ろしい敵であるので、十分な注意と強い意志力のもとに挑まねばならない相手である。
今までと比べると結構マイナーな感じのモンスターではないでしょうか?
おそらく名前だけ聞いても、パッと浮かぶ共通イメージみたいなものもないのではないかと。
『悪霊』ということで、典型的な死者の亡霊や幽霊的なもの、いわゆるゴースト的なものを連想しそうになりますが、概念としてはそれらとは少し異なり、悪魔と呼べるほどの『個』みたいなものが確立されていない、下級の魔的存在と言ったところでしょうか?
画的には人の顔がくっついた蛆や芋虫(これは言葉遊び的なものでそうなっちゃったのかも知れませんが)というような姿で描かれたりするように、悪魔の幼虫みたいなものであると解釈が適当なのかもしれません。
悪魔という概念が一般化されるより以前、人に災いをもたらすのは森羅万象あらゆるものから生じる悪霊でした。
信仰の対象となる精霊と対を為す存在だった訳ですね。
もちろん死者の怨霊などもそのうちに含まれる訳ですが、悪霊というカテゴリーは実に広くざっくりとしたものだった訳ですね。
「姿は見えないけれど人や物にとり憑いたりして危害を加えてくる存在」ぐらいの捉え方で悪霊という言葉を使っていたのです。
ラルヴァというのは、元々古代ローマにおける人に害を為す悪霊のことで、死後きっちりと弔いを受ける事ができなかった亡者の霊がそれに変じてしまうという風に言われていたそうです。
つまりちゃんとした手順で弔ってもらえなかった為に死後の世界へゆく事ができず、害を為す存在となってしまうというテンプレートモンスターの古株さんなのですね。
死期の近い人間に付き纏い、その生気を吸い取るとも言われており、のちのヴァンパイア伝承にも少なからず影響を与えているモンスターだったりするのかも知れませんね。
豆が好きで、豆を撒いてご機嫌を取る。
または豆を放り投げてそちらへ注意を惹いて逃げる。
はたまた豆が弱点であるという解釈もあり、投げつけて追い払うなどといった弱点の設定も、そういった設定積み上げ型モンスターへの流れを感じたりしませんか?
いずれにせよ何時の時代にもそういったタイプのモンスターが、その時々の宗教観、生死観みたいなものの象徴として根ざしていたのは間違いない訳ですから、そこはとても面白い部分だと思うのですね。
後年になるにつれてより具体的に、よりご大層な怪物にそのポジションが切り替わってゆくというのも非常に興味深いとことではないでしょうか?
そういう意味では、ラルヴァはまさしく悪魔の幼虫だったとも言えるのかも知れませんね。
それでは今回はこんなところで。
ありがとうございました。
※モンスターの解説は基本的にaVAshiri独自の解釈によるものですので、
迂闊に他所で披露してしまうと恥をかいてしまう事になるので、十分にご注意ください。
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