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過ぎ去りし日々のそれこれ
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NEEDLE FISH NO.024
ニードルフィッシュ
NEEDLE FISH

 この世界には数多くの恐るべき生き物が生息しており、冒険者たちにとっての脅威として立ちはだかってくる訳であるが、中には悪魔的な知恵により生み出された人工的な怪物も多数含まれ、その特徴としてミミックなどを例に挙げるまでもなくきわめて悪趣味かつ悪意に満ちた生態を持つ物が大半を占めている。

ニードルフィッシュと呼ばれるこの怪魚もまた、「より大きな危害を齎せるように」と、むき出しの悪意のままにデザインされた存在であり、生き物としての在り方を捻じ曲げられた怪物である。

 元々からして彼らは漁師たちからも恐れられる危険生物ではあったのだが、邪悪な魔術師たちはこぞってその危険性に磨きをかけ、芸術的とも言える「生きた凶器」を生み出す事に成功した。

全長は元の1.5から2倍に及ぶほどに大型化し、ギラギラと輝く全身はその見た目に違わぬ固さを備えるに至り、もはや『針』どころではなく『槍』とでも呼ぶべき体躯を誇る。

そして大きく発達しトビウオのようになった胸鰭により従来より高く、遠くへ飛ぶことが可能となり、さらに、ごく原始的なものであるが肺を与えられている為、乾燥には弱いものの呼吸に左右されず水から離れて活動する事も可能となった。

これらはすべて、如何にしてこの危険生物をより広い範囲で有効活用するか?という一点のみで施された工夫の賜物であろう。

 もともとは海に住んでいた種を改良したものであるが、水質を問わず適応できるよう調整されている為、ニードルフィッシュの多くは侵入者に対する番犬ならぬ番魚として迷宮や洞窟などの地下水流に放流されており、その水源周辺を生息圏としているのが主である。

元来からある習性に習い、彼らも光に反応して攻撃行動を行うので、松明やカンテラなどという光源を片手に暗い地下道を移動する冒険者たちを迎え撃つには格好の存在なのだ。

安易に地下水道近くにキャンプを張ろうとしようものなら、凄まじい速度で水中より飛び出してきた彼らに何が起こったかもわからないまま絶命させられてしまう事であろう。

 ニードルフィッシュの最大の脅威は不意打ち気味に襲い掛かってくる必殺の一撃であるが、その恐るべき早さの強襲を避けたとしても注意せねばならない。

十分に推力を乗った水中からの初手に比べると速度こそ落ちるが、彼らの靭やかで強靭な身体は滑空するには十分な高さを飛び跳ねる事が可能な力を備えており、二度、三度と魔弾は襲い掛かってくるのだ。

また、その貪欲さと凶暴性を体現するような牙は鋭い顎先に負けず劣らずの威力を持っており、革鎧程度であれば簡単に噛み破ってしまうほどであるという事も覚えておくとよいだろう。

 顎先にしても牙にしても、一度捕らえられてしまうと引き剥がすのは困難であり、ただ力任せにそれを行おうとするとより深く食い込むべく激しく身体をくねらせ始めるため、却って傷口を広げる結果となるのでそこも注意せねばならない。

 害意そのものが形となったような怪物であるが、生き物としては見た目ほどに頑丈な部類ではないのがまだ救いであり、行動パターンも単純であるため落ち着いて対処する事ができれば大きな被害を出す事もない相手とも言えるが、奇襲戦法を常とする彼らと遭遇して常に沈着冷静でいることができるかといえば、それは困難な事なのかも知れない。


 さて今回は”ほぼ”オリジナルモンスターと言ってよい感じのものです。

”ほぼ”というのは、ニードルフィッシュじたいは決して架空の怪物などではなく、実在する生き物であり、それを脚色してモンスター化しているからなのですね。

「ダツ」といえばピンと来る方も多いと思いますが、恐怖画像などでweb上でも認知度を上げつつあるあの殺人魚を膨らませてみた感じなのです。
(まぁ英名そのまんまの名前になっていますが)

 ゲームに登場する魚系モンスターといえば、だいたいピラニアかサメといったものがモチーフになったものが多い印象ですが、恐ろしさで言えばダツもかなり上位に食い込む存在感を放っているのではないでしょうか?

実際、漁師さんなどの間ではサメより恐れられているだとか、サーフボードをぶち破って来るとかもうそういう話だけでもモンスターじみている気がします。

 殺人魚といえばフライングキラーという映画(某大御所監督のデビュー作品ということになっているので、ご存知の方も多いかも?)を思い出したりもする訳ですが、今回紹介しているニードルフィッシュにも多分にその影響が含まれている感じになっています。

ああいったB級ホラー映画に登場するモンスター的なノリも、ゲームなどでポピュラーな伝承系モンスターとはまた違った魅力がありますよね。


 ゲーム黎明期にはSF小説や映画などといった他ジャンルからの引用がわりとよく行われていたものですが、近年は神話や伝承をより深く掘り下げ、その解釈を深めてゆく方向でモンスターが語られる傾向が強い気がします。

決してそれは悪い事ではありませんけれど、何もかもがその価値観一辺倒になることなく、自由な発想でアイディアをピックアップしてきてみたり、また飛躍させて好きにモンスターを想像してみるのも、一つの醍醐味としてあるのではないかと思ったりします。

個人の思いつきで生まれた創作モンスターが、何かのきっかけて後にジャンルの定番化してしまう…なんてことが起こりうるのも創作の面白さだったりするのではないでしょうか?

普段あれこれ細かい事をつらつら描き続けているaVAshiriが言うのも何ですが、もっと奔放でいいんじゃないかな?なんて考えたりするのですね。


それでは今回はこんなところで。

ありがとうございました。


※モンスターの解説は基本的にaVAshiri独自の解釈によるものですので、
迂闊に他所で披露してしまうと恥をかいてしまう事になるので、十分にご注意ください。

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VAMPIRE BAT NO.023
ヴァンパイアバット
VAMPIRE BAT

 吸血コウモリを指す名であるが、ここで紹介するのは一般的なそれではなく、おそるべきモンスターと化した大型種についてである。

大きさとしては元の3~4倍はあり、その分群れの単位がコンパクトに構成されるようになったのか、あまり大きな群れを造らず、4体から多くとも8体ほどの1家族単位で群れを為す。

 基本的な習性は大型化しても大した変化はないようで、音もなく飛来してきて、巧みにお目当ての血管を探り当て、痛みさえ感じさせる事のない鋭い切れ味を持つ牙で傷を付けて血を啜る。

もともと飛翔が困難になるほど大量に血を飲むのであるが、このサイズのヴァンパイアバットによって同じように吸血された場合、血が固まりにくくなる成分を含んだ唾液の効果も合わさり、重度の貧血状態に陥ってしまう事であろう。

 ただし大きくなったとはいえ生き物としての脆さは変わらず、飛翔能力の代償として軽量化された身体はまるで戦闘には向かず、自慢の鋭い牙も正面切って戦う武器としては些か頼りないと言えよう。

彼らが真価を発揮するのはあくまで闇討ちや不意打ちであり、それにさえ警戒していればさして恐ろしい敵ではない。

とはいえ、まるで物音一つ立てず忍び寄る彼らに寝込みを襲われてしまった場合、状況次第ではそのまま失血死してしまう恐れもあるので、彼らの生息圏内では夜間の見張りには神経を尖らせておく必要があるだろう。

そしてもう一点注意すべき点としては、大ネズミたちと同じように彼らもまた恐ろしい伝染病を媒介する可能性が高い為、ほんのかすり傷程度でも適切な処置が必要である。

『ヴァンパイア』の名は単に血を吸うからという理由のみで与えられてはいないのだ。

 
「ヴァンパイアバット」というと、いわゆるチスイコウモリと呼ばれるコウモリを指したりする訳ですが、こちらで取り上げるのは当然モンスターですので、説明文でもある通り、それら実在のコウモリではなく、あくまで「モンスターとして」のヴァンパイアバットについてお話をしましょう。

 さて、コウモリというと真っ先に思い浮かぶのは例のおとぎ話だと思いますが、そこから受ける印象や、見た目の不気味さから、コウモリは多くのゲームにおいて敵キャラクターとして登場して来ます。

そしてその多くで、ひらひらと飛び舞う軽やかな有様や、狂犬病などを媒介するという事などから、素早い上に毒などの状態異常を引き起こす序盤の難敵という位置づけで扱われる事が多いようです。

 また、何かしら冒険を題材とするアクションゲームにおいてもコウモリは高確率で登場し、やはりその飛翔能力をフィーチャーされてクセのある挙動で襲い掛かってくる、場合によっては生半可なボスキャラよりも恐るべき敵として立ちはだかってきます。

さらに、その容姿も頻繁に悪のシンボルマークのデザインとして使われたりもしますし、とあるヒーローなどは「恐怖の象徴」として、コウモリのデザインのコスチュームを身に纏ったりしていたりもする通り、コウモリにはそういったネガティブな悪魔的イメージが絶えず付き纏っています。

 考えてみれば他の肉食の猛獣や、猛毒を持った蛇や、生活に密着したねずみなどの害獣というものと比べると、人がコウモリに受ける被害などたかが知れたものではないかと思う訳ですね。

確かにチスイコウモリなどは人間の血も吸いますし、家畜などにも被害を及ぼす害獣です。
が、一般的な多くのコウモリは虫や果実を食べる種が主で、伝染病を媒介するとはいっても積極的に人を襲う動物ではありませんので、能動的に接触を図ろうとでもしない限りその被害にあうことも少ないのではないでしょうか?

 実際、古い時代においてはあまりネガティブなイメージで語られる動物ではなかったらしく、吸血鬼や悪魔などと関連付けされたのは比較的近代になってからで、やはり関連付けられたそれらと同様に宗教的な原因が大きいのだと考えられます。

 ただ、コウモリを悪魔的なものだと捉える気持ちも理解できます。
夜目の利かない鳥たちと異なり、日が沈むと共に表れて闇の中を飛び回る上、その姿も鳥とはかけ離れており、一見ねずみをさらに醜悪にしたような顔つきをしています。
また、逆さに張り付いて羽を休める姿も、他の生き物にはあまり見られない特徴ですし、昔の人たちの目にはとても奇異な生き物として映った事でしょう。

 「悪魔」や「吸血鬼」という概念が一般化した後であれば、闇夜を踊るように飛ぶこの奇怪な生き物は、この世ならざる世界から来た得体の知れない怪物で、呪われた存在であると感じるのは自然のなりゆきなのかも知れません。

つまり、手足もなく動き回り、皮衣を脱ぎ捨てて生まれ変わる蛇に対し、人がかつて神や魔を見たそれと同じように、コウモリの生き物としての異質さが後の不遇を決定づけたのかも知れません。

多くの悪魔の背中には、コウモリと同じ飛膜が与えられているのを見るに、悪役的デザインとしてとても秀逸であったというのも運の尽きだったのでしょうね。


それでは今回はこんなところで。

ありがとうございました。


※モンスターの解説は基本的にaVAshiri独自の解釈によるものですので、
迂闊に他所で披露してしまうと恥をかいてしまう事になるので、十分にご注意ください。

 
MINOTAUR NO.022
ミノタウロス
MINOTAUR

 神と人の世界がそれほど遠くはなかった時代、その交わりにより多くの英雄や怪物が生み出されたという事は以前にも語った通りであるが、このミノタウロスもまた、そういった中で生み出された大きな過ちの一つである。

神獣と人との交合により誕生した、この半獣の身を持つ異形の者は神の呪いを受けた存在であったが、ある大国の王子として生まれたが故に忌み子として間引かれる事なく育てられた。

しかし受けた呪いの深さ故か、それとも生まれ持った獣性故か、育つにつれて獰猛かつ残虐極まりない性質を増してゆき、父王もついにその抑えの利かない怪物性を持て余すに至ったが、殺してしまうには忍びないと彼を地下へ築いた広大な迷宮へと監禁することにした。

 父に裏切られた怒りはどれほどのものであったか?

ミノタウロスは地下で恐ろしい唸り声を上げ続け、その怒号は大地を激しく揺らし、封じられてもなお国に災いを為すようになってしまった。
困り果てた父王は年に一度、数人の人身御供を我が子のいる迷宮へと送り込み、その怒りを慰める事にした…というのが、この怪物にまつわる伝説の概要である。

 この通り本来ミノタウロスとは、神話の時代に築かれた迷宮へと封じられた牛頭人身の呪われた怪物それのみを指すのであるが、悪趣味な魔術師たちがその伝説に目をつけないはずもなく、実に嘆かわしい事であるが模造品が大量に生み出される事となった。

そう、冒険者の多くが出会うミノタウロスと呼ばれる怪物のほとんどは、そういった伝説の『箔』にあやかった悪質な模造品なのである。

 オーガやハーフオークなどといった体格的に優れた亜人を母体に生み出されたミノタウルス”もどき”たちの知能は、混ぜ込まれた獣性に引き摺られるが故か何れも著しく低いが、全身の筋力はトロールやオーガをも軽くしのぎ、並外れた攻撃性と執念深さを兼ね備えた性質を持つため、扱い方さえ間違えなければ非常に過ぎれた番人としての資質を備えている。

つまりそのオリジンと同じく地下迷宮などに放逐し、勝手に徘徊させてさえおけば滞りなく有能な守護者としての役割を果たしてくれるという訳である。
ただし、この番犬は飼い主の手をもこっ酷く噛み付く駄犬でもあるので、取扱には厳重に注意せねばならない。

 そしてこのように味方としても厄介な怪物が敵として立ちはだかる場合、その何十倍も注意をせねばならない事は言うまでもない。

オーガよりもさらにもう二回りほど上回る巨躯が、獰猛な牡牛そのままの突進力を持って襲い掛かってくる様はまるで火山弾を思わせ、まともにその威力を受けたモノは一瞬にして爆ぜ散り、跡形も残る事がないであろう。

魔術や特殊な能力こそ持たないが、この直線的でも圧倒的な力こそが彼らの最大の武器であり、戦う相手にとっても油断のならない脅威なのである。

このように扱いの難しい怪物故にそれほどあちこちで見かけるものでもないが、地下迷宮の深層が不自然に静かだと感じた時は注意した方がよいであろう。

その階層は彼、ミノタウロスの徘徊するテリトリーである確率が非常に高いのだ。


 さて余談であるが、伝説の上ではミノタウロスは知恵ある勇者に倒された事になっているのだが、件の迷宮だとされる遺跡には未だ謎が多く、深層に潜ったまま戻ってこない冒険者も後を絶たないというが…?


 ここ数回、比較的マイナーなモンスターが続きましたが、今回は有名どころです。

多くのコンピューターRPGにも登場するモンスターですので、その名前を聞けば大概の方がパッと何かしらのイメージを容易に思い浮かべる事ができるのではないでしょうか?

 大きな角のついた牡牛の頭に、均整の取れたマッシブな肉体。
場合によってはそれを支える下半身が、パンパンに筋肉の張ったケモノ脚で、つま先には巨木の切り株を思わせる巨大な蹄が・・・と、実に絵になるモンスターで、大概のゲームでは単なる一介のザコ敵ではなく、それなりに強力なものとして扱われ、場合によっては中ボスクラスの待遇で登場してきたりもします。

元祖地下迷宮の主であり、いわゆるキャッスル・フリーク的モンスターの始祖でもあるというのもポイントなのでしょう。
ネームバリューも相まってゲームの悪役としてはこれ以上にない扱いやすさを持つ存在だと言えます。

 牛の頭を持っているという事が最大の理由なのでしょうが、そのマッチョすぎる外観故に、ただ獰猛なだけの脳筋モンスターとして扱われる事の多いミノタウロスである訳ですが、彼もまた怪物となる前は神であったようで、神話内でもその咆哮で大地を揺るがしたとあるように、地脈などに由来する信仰対象だったのでしょう。
『地下迷宮』という要素もそれを強く匂わせるもので、神としてのミノタウロスの本質は、実はそこにあるとも言えるかも知れません。

おそらくはそれを鎮めるための土着的な人身御供の儀式が、神話へと取り込まれる際に「地下迷宮に潜む野蛮な人喰いの怪物」の物語として再編されたのではないでしょうか?

近代に近づくにつれ、人>獣という価値観が一般化し、獣の要素を含むという事は蔑まれるべきものとして扱われるようになってゆきますが、古代信仰においては人より優れた働きをするものとして、獣そのものが神性視されたり、また半人半獣というのも、人に+αの要素を備えた超越的存在であるという認識をされている場合も多く見られ、ミノタウロスもおそらくはそういった人を越えた存在だったのでしょう。

この手の怪物化された神の多くに当てはまる事なのですが、その誕生譚からしての蔑まれぶりからも、かなり有力な神であった事が窺い知れる気がします。

 ちなみにこのミノタウロスは海の神ポセイドンとの関わりが深い怪物なのですが、日本国内にも牛の頭を持つ牛鬼という海の妖怪がおり、それをお奉りする地方まであったりします。
 また、河童などといった穢神の元締めとも言われる牛頭天王という名の神様がいたり、そういった海神、水神というったものと牛頭の神との関わりを紐解いてゆくと何か面白いものが見えてくるかも知れませんね。


それでは今回はこんなところで。

ありがとうございました。


※モンスターの解説は基本的にaVAshiri独自の解釈によるものですので、
迂闊に他所で披露してしまうと恥をかいてしまう事になるので、十分にご注意ください。

HAG
 
HAG NO.021
ハッグ
HAG

 魔物と呼ばれる存在のその多くは、地下迷宮など大凡人里とは離れたところにその生息圏を持つものなのだと思われがちだが、意外にも人里近くに住み着く者たちも実は少なくない。

彼女(…と呼んでよいものかどうか迷うところであるが)らもそういった範囲内に隠れ住む類の者たちである。

ハッグ、すなわち魔女やら鬼婆とも呼ばれる彼女らは、人の集落にほど近い街道ぞいの森の中や、山の麓などに居を構えている。

そしてその近くを通る者を住処に招き入れては、生皮を剥ぐなど残酷な手段を用いていたぶり殺し、生き血を啜ったり、その肉を喰らったりする。

特に子供の肉を好むようで、時折人里まで降りてきて一人捨て置かれている赤子などを攫う事もある。

その姿は醜悪な人間の老婆のように見えるが、実際に齢を経て人などが変じたものなのか、元々そういう種族であるのか不明であり、外見もそれが本当の姿なのかさえ実のところよくわかっていない。

というのも、ハッグは変化も得意としており、あどけない少女や妙齢の美女の姿で現れることもあれば、見上げるほど大きな悪鬼の如き姿を取ることもあり、死後狼や鼬といった生き物や、それどころか枯木に変じたなどという話も伝わっていたりもするため、広く知れ渡っている存在のわりに謎が多いのだ。

モノに取り憑く悪霊の類がその正体ではないかというのが一般的な説であるが、近年では齢を経る事で存在がやや曖昧になり、魂が魔界と呼ばれる領域に踏み込んでしまったことで悪魔的な存在と化してしまった、半悪魔とも呼ぶべき存在ではないか?という説が支持されつつあるようだ。

その何れにせよ、何故決まって老婆の姿になるのかは甚だ謎なのであるが…


ここまで語られた特徴からも伺える通り、ハッグたちは原則的に単独行動を常としている。
そして幻惑や変化の術を用い、獲物を捕えるために何重にも罠を張り巡らせる。

性質は狡猾かつ残忍で、人の弱みにつけこむことを得意とする。

基本的に知恵を巡らせて獲物にありつくタイプであるが、いざその策が破綻しようものなら即座に力押しに転じられるほどの身体能力も持っているので油断してはならない。

飛ぶかように山野を走る脚力と、山猫の如き爪、山犬の如き牙を兼ね備え、鋭い肉包丁を振り回すその姿はまるで悪夢であり、巣である足場の悪い森や山中でハッグに出会ってしまった場合、死を覚悟せねばならないだろう。

このように見た目以上に恐ろしい存在であるハッグであるが、悪魔的なそれの多くがそうであるように特定のルールに縛られる存在でもあり、接し方によっては富を齎す知恵や道具を与えてくる事もあるという話もある。

もちろんそのルールから外れた場合、待っているのは『死』なのであるが、命がけでその恩恵に預かろうとする冒険者も少なくない。

ちなみに彼女たちの住居は常に特異な結界に守られた隠れ里とも言える場所にある為、ハッグ自らが招待しようと思わない限り、容易に近づく事はできないという事を心しておかねばならない。


 メジャーどころのRPGではほぼ見かけないモンスターですので、名前を聞いてももうひとつピンと来ないという方も多いのではないかと思いますが、所謂『山姥』だとか『鬼婆』とか呼ばれる感じのものだと言えば、大凡のイメージがつかめるのではないでしょうか?

 山姥と言うと、昔話の「三枚のお札」に登場するものが有名だと思いますが、ああいった感じで山野に住み着き、住処に誘い込んだ人間を食べたりする怪物で、様々な妖術を操ったり、並外れた身体能力を持っていたりもします。

海外のおとぎ話だと、「ヘンゼルとグレーテル」に登場するお菓子の家の魔女などがその近い感じですが、そういった人喰い魔女などの類もハッグに分類されます。

基本的に残忍でずる賢く、怪しい術を操ったりもする人喰いの怪物な訳ですが、説明文にもある通り、場合によってはそういった害のみではなく、益の部分がフォーカスされる状態で登場してくるパターンもあったりします。

その場合も、人里から少し離れたところに一人だけで住んでいる事は共通している訳ですが、何かしら決まりごとを破らない限りは危害を加えられる事もなく、むしろ利益をもたらしてくれる存在だったりもするのですね。

例えば相談ごとに知恵をかしてくれたり、不思議な薬や富を齎す道具などを貸してくれたり、機織りや野良仕事を手伝ってくれたりと、得られる恩恵も様々なパターンがあるのですが、何れの場合も何かしら決まりごと、例えば「その顔を覗き込んではならない」だとか「定められた報酬は以上でも以下でもあってはならない」といったものがあり、人間がそれに背くとそれまでの益の部分が一気に裏返り、害を及ぼされてしまいます。

そういったパターンのお話は、妖精や巨人を題材としたものにも多く見られるようで、この山姥などと呼ばれる者たちも、きっとそれに類する存在であったのではないかということが伺い知れるのではないでしょうか?

また、山姥については必ず定位置に住んでいるという決まりごとがある事が多く、場合によっては岩屋や祠などに監禁されているかのような状態で登場してくる事も少なくない為、妖精や巨人などといった元々が直接的に信仰対象だった者が変じた存在ではなく、それらと連なる巫女の類がそのルーツではないかとも推測できるのではないかとaVAshiriは思ったりする訳なのですね。

 金太郎の育ての親も山姥だったりする訳ですが、そういった特別な立場を与えられたりする事からもわかる通り、かつては近隣集落の神事を司っていたりしたものの、何かしらの理由により人里に住むことが許されなくなり、山野へと追われた巫女などが時代を経て怪物として扱われるようになったという感じなのでしょうか?

海外のおとぎ話などにおいてハッグが、悪魔の使徒である魔女などと混同されるようになった事も踏まえると、あまり大きくハズレた考え方ではないのではないでしょうか?

こういった古代宗教などの巫女がルーツではないかと思われる怪物はわりと多くいるようで、追々その辺りのお話もしてゆこうかなどと思いますので、お楽しみに。


それでは今回はこんなところで。

ありがとうございました。


※モンスターの解説は基本的にaVAshiri独自の解釈によるものですので、
迂闊に他所で披露してしまうと恥をかいてしまう事になるので、十分にご注意ください。

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